大阪のしがないおじいさんの日々のブログ

大阪のおじいさんの老後ブログ

日常

那須川天心 VS 井上拓真のWBC世界バンタム級王者決定戦の試合を見ての感想

投稿日:

僕はキックボクシングを長くやってきたので天心をずっと見てきた。正直キック界の亀田臭をぷんぷん匂わせる感じがあまり好きではなかった。多くのキックファンも同じ感じなんじゃないかな?プロモーターのお父さんが上手に負けない試合を組み続け、メディアも上手に使って無敗神話を作ったのは有名な話でそこんところもふくめてコアなキックファンよりも子供人気やテレビ人気、ライトなファンを上手に味方に付けているイメージでした。

そんな天心がボクシングへ転向すると言う事で興味本位で今日まで多くの天心の試合を見てきました。そして早くもプロ転向8試合目で世界王座への試合にこぎつけたのは本当にすごい。キックと違って噛ませ犬とやり続ける事は出来ないのでこの場所に来たことは実力(父親のプロモートのうまさ含め)以外何物でもありません。

メディア+スポンサーはこの戦いを代理戦争とかこつけました。本格派プロボクサーとキックから転向の異端児の戦い。それは天心が勝とうモノならば伝統ボクシングが壊されると言う構図で、天心の言葉を上手に切り取り煽り続けた。結果、井上ベビーフェイス、天心ヒールと言う構図が出来上がった。

素人が見た試合展開。
1,2Rは個人的に天心が取ったと思っていました。それほど天心のリズムが井上を凌駕していた。入場時点から口元が震えていた井上はあまりに大きなものを背負いすぎた出だしだったように感じます。ただの試合ではなく、こいつにだけは負けられないというメディアが打ち上げた伝統を守るべくかなり固かったように見えました。更には天心がノリでぐいぐい来ると読んでいたのかなとも感じました。

しかし実際にはいつもとは違い天心はべた足でディフェンスよりのスタイルで12cm差を生かしたジャブで井上との距離取りを制圧し上手にロングボディを当てるなど「え、これ、もしかして天心の方が相性がいい?」と感じる程でした。

しかし3R終了後のポイントが公表されまさかの同点という結果が両陣営に大きな動きを見せます。たぶん井上側からすればラッキー、天心側からするとあれ?という感じだったのではないでしょうか。井上側からすると、これでイーブンならじゃあデンジャーゾーンギリギリくらいまで少し出ようかとなったでしょうし、天心サイドからするとこのままじゃヤバいよね、となったはずです。

4Rから井上は先までと違いステップ数が多くなり深く入りワンツーが増えます。天心は4Rから受け身になってしまい、常に井上が出る、天心が対応という構図になりました。個人的に見ていて天心のショートはあまり上手ではないと感じました。逆に井上のショートはコンパクトに打ち抜き手数も多くバリエーションも豊富でした。12cmの腕の長さの違いがショート区間で出た気がします。

ショートの弱さを露呈してしまった天心は今後対戦相手はこの距離間で来ると思うのでその対策が急務になるでしょうね。そしてそこに入れない為の腕の長さを生かしたジャブとそこから繋げるバリエーションも欲しいですね。天心は以前からキック特有の1回の攻撃の回数の少なさが気になります。ジャブだけで終わったり、2手で終わったりとヘビー級ボクサーの動きのようです。キックであれば遠くからはワンツー、それで近づいてキックや膝と言う流れなんでその癖がまだ抜けないのかもしれません。

でも今回の井上戦で成長を感じたのは、横にスイッチした瞬間など姿勢を変えた瞬間に手が出る事です。以前までは高い身体能力で縦横無尽に動くのは良いけどその次の一手が出ない事が多かったですが今回はそれが出来ていると感じました。

最後に・・・
今回、天心を悪く言う風潮がネットで多く見る事があります。その多くがメディアの切り抜きによる煽りを真に受けている方。または天心のリング上での振る舞いに苦言を呈している方です。

正直、ボクシングってそんな神聖な場所か?と感じますし、そうじゃないよねってのが真実です。

海外には過去、ナジームハメドという漫画の様な動きをして全ての攻撃をよけまくる最強の世界王者がいましたが、彼はリング上でまあ酷いもんでした。相手を馬鹿にして腰を振るアピールをするなど天心など足元にも呼ばないアクションをする選手もいましたし他にも多くそういった派手はアクションをする選手は多くいます。
事前の煽りだって相手の事を散々コケにした発言をする何て常識です。

ボクシングはルールに沿って行うスポーツですが世界規模のビッグイベントであり実力だけでは世界戦は戦えません。いかにその試合に価値を作り出すかが重要なビジネスの一面も持っています。派手なアクション、豪快なKO、印象に残るストーリー、それをスポンサーは求めています。天心サイドはそれが上手です。
今回もこの戦いが実現したのは、まさにそのスポンサーが喜ぶ演出のピースが埋まったからです。

最強の兄を持つ伝統的ボクシング VS キックから転向で今のボクシングの常識をぶっこわす新人

実際試合前後はお互いのファンがネットでぶつかり合い今なお天心を悪く言うコメントが溢れる程です。その現象自体がこの試合がいかに価値を持った戦いだったかを意味しています。

正直試合前にえらそうなこと言って自分でハードを上げて戦うって本当に大変なんですよ。負けたらここまで叩かれるわけだし。本当は本人たちはあんな煽り動画撮りたくないでしょう。でも天心はこれをずっとやってきたのよね。それはすごい事だと思う「おれ来月売り上げ200%上げて今の係長のイス奪いますから!」といって働くのしんどいでしょ・・。でも仕事としてそれをずっとやっているんですよ。本当にすごいと思う。
そして、この絶対に負けれない闘いにしっりと勝ちを上げる井上選手にも脱帽。兄弟で世界チャンプってもう漫画の世界ですよね。

それにしても最近の日本選手は手数が増えて見ていて楽しいですね。この日の試合もすべて見ちゃいました。
キックのONEも野杁選手の登場で盛り上がっているし(負けたけど・・)世界で日本選手が活躍するのは本当に見ていて楽しいです。
でも強者揃いのプライドも楽しかったな・・・・。



-日常

Copyright© 大阪のおじいさんの老後ブログ , 2025 All Rights Reserved Powered by STINGER.