まず初めに。
私は真女神転生1,2、そしてソウルハッカーズ、ペルソナ1をクリアしたほど女神転生が好きです。金子一馬さんが描く悪魔も好きでそのデザイン力を尊敬している一人のファンであることを前提として感想を書きます。
かなり前にセールの時に買って以来積みゲーになってたのでちょっと遊んでみたら楽しそうなのでついつい進めてしまい86時間をかけて先ほどゲームをクリアしました。ゲームをクリアしての私の感想は「つまらない」です。つまらないだけならば良いですが、正直怒りさえも滲む程でした。その理由を書いていこうと思います。
この真・女神転生III NOCTURNE HD REMASTERでの一番大きな問題点は物語です。とにかく物語がわかりにくいのです。登場人文が全て主語を消すような含んだ感じで話すのでずっともったいぶられ続けます。それに加えて要所要所の言葉づかいで誤解を招く言葉遣いが多くそれも進行を妨げます。
例えば丸の内にカグヅチは現れているのに、アマラ神殿での会話で「カグヅチが現れたのでコトワリを持つ者たちがゾロゾロとやってくるでしょう」という言い方をしますが、これを見たらアマラ神殿に来るのかな?と誤解を招きます。正しくは「カグヅチが現れたのでコトワリを持つ者たちがゾロゾロと向かう事でしょう」ですよね。ナイトメアシステムの時もですが、どこで何が起こっているのかわからない演出が多く、言葉でもそれを説明しないのに更に誤解するような言い回しが要所要所にありプレイヤーを悩ませます。特に会話情報が皆無に近いほどないゲームなので1つ1つの内容が大事なのにそれを間違えられるのはつらいです。
そしてもっとも私が怒りを覚えたのはラスト部分です。※ここからネタバレに入ります
多くの謎を残したまま遂に最後の場所カグヅチにたどり着きましたがそこで言われるのは要約して「お前の手は汚れている(多くの者を殺しすぎた)のでお前は世界を造れない。私は世界を死に至り締めたお前を憎む!」と言う事です。
結局新しい世界は作れず、荒廃した東京受胎の世界が広がってエンディングとなりました。
「は????」
これは本当に理解ができません。
カグヅチがいう世界を死に至り締めたのって氷川ですよね、東京受胎にするために世界中の人を殺しました。そして何よりも東京受胎の状態にしないと新しい世界を造れないってことはそのルールを作ったカグヅチだって共犯者です。全てをリセットしないと新しい世界を造れないのであればそれは大量虐殺です。
千里だってマガツヒを集めるために一体何体のマネカタを殺したんですか?勇だってヒジリを殺しました。これだけ全員が手を汚しているのに主人公だけが責められているのはどう考えてもおかしいです。
手を汚しても人間であればなんでも願いが叶うのでしょうか?一体それって何の世界なんでしょうか?
コトワリ、つまりこういった世界を造りたいと願う想い。本当に3人の中に推せる人っていましたか?私はいませんでした。
氷川。東京受胎の為に世界中の人を犠牲にした。こんな人間がいくら理想を話そうが聞く耳は無いです。
千里。強い物だけが残ればいい世界。ゴズテンノウの力を得るまでの弱い自分を棚に上げてそんなことを言ってもあまり説得力がないうえ、自分の創世の為なら山のようにマネカタを殺している人の夢に賛同は出来ません。
勇。一人で生きていく世界。一人で生きていくと言いつつ主人公に3神を倒させたり、ヒジリの絶命をさせようとしたり何回も主人公に助けられたり一人で生きていくと言いつつずっと主人公におんぶで抱っこで流石に唇寒しという感じでこんな人の推す一人の世界は全員がいつも誰かに迷惑をかける世界になるので賛同はしたくない。
こうなると結局誰にも賛同できないんですが、一体ゲーム的には誰を選ぶのが正解なんでしょうか?こんなどうしようもない人達が作らんとする世界が正しくて一生懸命生きてきた主人公である人修羅が創世の神であるカグヅチにボロクソ言われるっていったい何なんでしょうか・・・・。全く理解できません。その理不尽こそが今の社会というのであれば少しは理解できますがどうなんでしょうかね。
あとラスト部分はもう少し言いたいことがあります。
最終的にカグヅチの所に行くためには3人のコトワリが持つ珠と呼ばれるものを装置に設置して起動するエレベーターに乗ることが必要です。これっておかしくないですか?
何故初めから3つとわかっていたんでしょうか?今回は偶然最終的に3人に絞られましたが、ヒジリや先生ももしかしたら候補になったかもしれません。そうなると珠はもっとあったはず。逆もまたしかりで少ない可能性もありました。そうなったらエレベーターは上にいけず誰もカグヅチに逢えませんよね。
そして、もし4人のコトワリを持ったものが丁度いたとして、きっとこのエレベーターホールで殺し合いになったはずです。ここに来るまでに大量のマガツヒを奪いあってまでここにたどり着いた4人です譲り合う事は無いでしょうから必ず殺し合いになったはずです。そうなったら必ず手は汚れますが、それでも創世は出来るんでしょうか?
余りのテキストの少なさ、そして内容の薄さを見せないため、引き延ばしたい為にわざと内訳を話さずはぐらかしてばかりの登場人物。NPCは会話内容もろくに変わらずに話の補填に一切ならない有様で、もしかしたらアニマ二クス的な本があれば少しは理解できるのかもしれませんが、このゲームだけでは正直理解は不可能です。
もう少し掘り返せば主要人物のそれぞれの初動が弱すぎます。氷川はマッドサイエンティストとしてみて短絡的に世界を抹消したことは理解するとして。先生は世の中への少しの不満だけで世界抹消に手を貸したのは異常。千里も自分が話した世界は満ちすぎてそれ以上想像が出来な世界になっていた、からの優秀な物だけが残る世界が欲しいは急展開過ぎますし何よりも弱い時の自分の状態で出るコトワリは「弱い物でも生きていける世界」であるほうが理にかなっていると思います。弱い状態で強さは求めるもので、弱い自分が力を欲しい、だから力が制する世界が欲しいはおかしいと思います。勇もへなちょこ展開から突然アマラ経絡の秘密がわかって一人で生きていく宣言、と皆さんたまにしか会わないのにたまに再開すると突然性格が豹変してちょっと付いていけないと言うか、短絡的に物語が変わりすぎて笑ってしまう感じでした。一人でそれぞれ動くよりも主人公と帯同して世の中の変化を見ながら少しずつこの荒廃した世界の情報や現実を見聞きして目標が見つかっていく方が良かったと思います。そもそもこの地獄でどうやってあんなヒョロヒョロで生き残れたんだよって感じですしね。
ゲーム的な面で言えば悪魔のスキル継承が手動で行えるようになったり、MAGが廃止され強い悪魔をいつまでも多く引き連れていけるようになったりしたので悪魔合体がかなり楽になり、戦闘で活かすことが出来るので強くなっていく事を実感しやすくなって非常に楽しかったです。しかしその良さをぶち壊すほどの迷路とパズル要素ばかりのダンジョンは最後は飽き飽きしていったいこれは何のゲーム?パズルゲームですか?と白けてしまいました。
凄く短い内容を引き延ばすために異常に長くするためのパズルや迷路、物語も引き延ばし工作の為にわざと言いまわして中身を見せない、引き延ばすわりに内容のつじつまも合わないと言った感じで、つまらないどころか怒りさも沸く内容でした。
他の方が名作というのは自由ですが、私は駄作も駄作。今まで多くプレイしたゲームの中でもワースト3に入るレベルのゲームで、このゲームを最後にもう真女神転生はプレイしないと心に決めました。大好きな作品だっただけに本当に残念でした。
最後にパッと思いつく変な点を書いておきます。
1。フクミミは何故一人だけまともなマネカタだったのか説明なし
2。ばあさんが最後の最後で言った「悪魔が作り主になる世界なんてあるんでしょうかね」発言はいらない。ラスト直前まで悪魔は世界を創世できないと言う設定できて、ユーザーもその体で物語を見ている。だからこそコトワリを持つものを重点している。しかしこの言葉のおかげで悪魔でも創世できるのか?と期待を最後の最後で持たせるどんでん返しを予感させ、結局できない落ち。この言葉のせいで一番大事な設定が踏みにじられるは結局元設定だわとユーザーの心は踏みにじられます。
3.そもそもチビと婆は誰やねん?説明なし
4.勇はマガツヒを吸われたのになぜ生きている?マネカタは吸われたら死ぬのに。説明なし。
5。アラディアの神は物語に関わるようで終わってみれば居なくても成立すると判明し、一体何の為に登場させたのか意味不明。不満だけで意思を持たない先生にはうってつけの偽神が取りついた言う事であれば納得。
6。ヒジリのコトワリへの覚醒はわかるが、その後瞬殺でいけにえになっているのは展開が早すぎてもう笑ってしまう。そのまま主人公の仲間のままか、覚醒するならもう少し大事に経緯を作って、その後の動きを付けてあげてください。さすがに阿保みたいです。
7.結局主人公を悪魔にして誰が得をするのか、何故悪魔にされたのか?意味が分かりません。これ、話の根幹なのに結局何の説明もないまま終わります。本当にどうかしている。
悪魔の主人公が一番人間らしい活動をして、人間たちが私利私欲に動き、最後は悪魔だから創生は出来ない、手は汚れていると罵詈雑言を浴びせられる始末。このゲームはくるっているのでしょうか・・・・・、。
と、カグヅチ並みに罵詈雑言を書いてきましたが、では私ならばこの真・女神転生III NOCTURNE HD REMASTERをどのように考察するかを最後に僭越ながら書かせていただきます。
女神転生3はアトラスなりの現代や未来の日本へのアンチテーゼだったのかなと感じました。
主要人物のコトワリですが私はこう考えます。
氷川=政治。尖らずに粛々と争わずに言葉で解決するような戦後の国の方針。
千里(ゴズテンノウ)=ゴズテンノウって初めよくわかりませんでした。だって悪魔のはずなのに世界を守ってきたなどと発言しますよね。悪魔なのに変に言い分があってプライドがある。それは千里に憑依するときにわかります。ゴズテンノウの魂が話す背景に菊の御紋のあるのです。菊の御紋はこれは天皇の象徴。つまりゴズテンノウは戦時中の日本の象徴なのです。武力によって領土を広げ領土を守ってきた。力によって全てを行っていた。これで逆に氷川の立ち位置もわかるわけです。そして戦後、権利は総理大臣に代わり天皇は飾り物の権威になった、まさにゴズテンノウが氷川に力を奪われたのがその様子ですね、そして怖いのがその生まれ変わりに女性を選ばせたところ。天皇は本来男性しかなれませんが、このたとえ話の中では女性に憑依して権力を持つという恐ろしい表現がなされています。
勇=将来の日本。インターネットの普及が始まり、人は情報を簡単かつ大量に手に入れれるようになった。それゆえその情報におぼれ自分一人で全てを知った気になり始める。自分一人で生きていけると勘違いを始める。しかしよっく見てみるとそいう人間ほど人の手がないと生きていけない自分に気付いていないと言うまさに現代の厨二病に20年も早くも前から警鐘を鳴らしキャラクター化していたのが勇。そう考えるとアマラ経絡はインターネット、アマラ神殿はサーバー、ターミナルは検索サイトかルーターという感じでしょうかね。
先生=現代人の代表。不満は口にするがじゃあ自分ならどうするかという意思がなく、動きもしない。いつも誰かに頼って自分の夢さえを誰か頼り。その結果氷川という詐欺師に良いように利用される、つまり意識もなく国に税金を良いように搾り取られているようです。そんな先生に憑依したアラディアの神はアラディアは『あるいは魔女の福音』という昔の本に登場する作られた神様。本の中では力亡き人間たちに権力ある人間たちと戦う力を与えると言う設定になっています。
先生はナイトメアシステムの受け子の役目で十分にマガツヒを所持していましたが意思が無いので神様を降臨させれませんでした。そのひ弱な姿を見てアラディアの神が戦う力を授けようと自主的に先生に降臨しますがこれは他の3名の神様とは違いあくまで先生が意思を持つまで側にいてあげようとしただけでコトワリをもたらすものではありません。先生がナイトメアシステム後世界を放浪できたのは多分この神様が魔法で敵を蹴散らしてくれたおかげでしょうかね。しかしその力があっても先生は自分の意志を持てずに結局コトワリを見出せなかったので氷川との再会シーンで滅殺。つまりは意思無き者は生きている意味すらないと言うアトラスの強いメッセージを感じました。
この設定を見るとまるで人間達はわがまま放題で身勝手か間抜けしかいないという表現になっていますよね。その中で面白いのがマネカタです。マネカタはこのゲームで唯一まともな判断をしています。つまりいい塩梅の思考です。しかしここが怖いのですが、その一番いい塩梅の種族であるマネカタは『泥人形』なんです。これがかなり怖い。まるで人というのは常に目標の為に多くの犠牲を払っている。そしてその目指すものは誰しもが良いとは判断できない。多くのアンチもいつもいるのである。でも人は間違いながらも何かを見出し進まなければいけないと言っているのかなと感じました。
私は今回は良い塩梅を探して結局誰も推すことは出来ずに結局創世は出来ず荒廃した世界に置き去りになりました。これはデメリットを恐れ一歩も踏み出さない先生と同じ答えだったのかもしれない。つまり私もまた哀れな一人だったのかもしれませんね。
※この記事をアップロード後、初めて真女神転生3について徹底的に調べてみます。もしもその中で納得できるものが見つかったら追記しますね